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学研プラス【天体望遠鏡ウルトラムーン】開封組み立てレビュー

 学研プラスから発売された「天体望遠鏡ウルトラムーン」の組み立てレビュー記事です。キットの中身を紹介しながら望遠鏡にまつわるプチ情報もお届けできればと思います。

 発売前からネットでも話題になっていたので手に入り辛いようです。ネット通販でも完売状態ですね、私も朝イチで本屋さんへ行くと店頭に並んでおらず……一縷の希望を抱きながら店員さんに「入荷はありませんか?」と聞いてみると店の奥から出てきました

 転売目的の買い占め防止策として入荷はしていても店頭にあまり数を並べていないお店もあるようなので、一度店員さんに聞いてみるのもありですね。

 と、記事を書いていると増刷が決定したようです。

 価格は2,500円(税別)でとてもお手頃価格です。普通の天体望遠鏡は入門機種でだいたい5,000円〜1,000円ほどしますので結構破格な値段に感じます。しかも後述のガイドブックまでついてお子様から手軽に天体観測入門したいなという大人までしっかり楽しめる作りになっていて税込みで2,750円ですからね。

 ただ、価格的に安すぎて中身がしっかりしているのか不安ということもあるでしょう。お値段以上の体験が期待できるのかキットの内容ひとつひとつを細かく見てみましょう。

目次
・天体望遠鏡キットの各部品紹介
ー対物レンズユニット
ー接眼レンズと接眼リング
ー鏡筒と中間リング
・いざ組み立て:重さや大きさは?使用上の注意望遠鏡の発明とガリレオ・ガリレイ

天体望遠鏡キットの各部品紹介

 さて、キットの中身をみていきましょう。箱から中身を取り出しますと、本体キットガイドブックが出てきます。このガイドブックにキットの組み立て方も書いてあるので、ガイドブックの内容と照らし合わせながらキットの中身に不備や足りないものがないかを確認しましょう。

 キット開封!で、中身はこんな感じ。プラモデルの箱を開けた瞬間のようなワクワク感があります。

 実は開けた瞬間にちょっとテンションが下がったのですが、なんと本体はラップの芯みたいな紙筒(笑)少し仕上がりに不安を感じながら組み立てスタートです。

・対物レンズユニット

 まずこちらが「対物レンズユニット」です。望遠鏡でいうと先っぽの方にあるレンズですね。対物レンズの大きさは52mm口径(倍率12倍)と望遠鏡としては比較的小さめですが、ガラス製のずっしりとしたものが入っています。レンズの種類は望遠鏡入門機に一般的なアクロマートレンズです。(ちなみに有効径は46mm焦点距離の記載なし。)

 アクロマートレンズについてはガイドブックにも軽く説明されているので詳細は省きますが、覗いて見た時に景気が滲んだりするのを抑える効果のあるレンズです。ちょっと専門的な言葉を使うと”色収差”を調整したレンズの一種です。

 ユニットには照準も付いていて接眼レンズユニット側の照準と合わせて使うことで観測したい対象物へ簡単に望遠鏡を向けることができます。一般的な望遠鏡では上にくっついている小さな望遠鏡が照準となりますが、このキットではとても簡易的なオープンサイト式の照準です。

 しかしながらこの照準器のあるなしでは使い勝手が全然違いますので、そのあたりしっかり丁寧に作られているのがわかりますね。(そりゃそうか)

 レンズに傷がつかないようにちょっと慎重に取り扱いましょう。汚れた場合はメガネやカメラのレンズ拭きで掃除しましょう。対物レンズには絞りがついており二つの部品に分けることができます。この絞り明るすぎるものをみるときに目を痛めないように、そして物がくっきり見えるようにするために使います。

 とくにこのキットの望遠鏡月の観察がメインとなっているので、月の観察時に取り付けるようにガイドブックには書かれています。普段あまり意識しませんが月というのは実はとても明るく絞りなしで観察すると目を痛めることがありますので要注意です。当たり前ですが絞りがあろうがなかろうが絶対に太陽をみてはいけません。お子様が取り扱われる際には口を酸っぱくして耳にタコができるほど伝えてあげてくださいね!

・接眼レンズユニットと接眼リング

 次に「接眼レンズユニット」と「接眼リング」です。その名の通り目に当てる側(覗きこむ側)のレンズです。こちらは倍率が12倍のもの25倍のものが入っています。12倍のものはガラス製のレンズが、25倍のものはPMMA(アクリル樹脂)製のレンズがそれぞれはめ込まれています。(これらも焦点距離の記載はなし

 接眼レンズユニットはの筒部分にはネジ山が付いており、接眼リングに差し込んでグリグリ回すことでピントを合わせる仕組みです。

 接眼レンズユニットの中には2枚のレンズが入っているのでハイゲンス式とかラムスデン式のようなものだとは思いますが、とくに記載はないので私には判断できませぬ。対物レンズがせっかくのアクロマートレンズなので比較的色収差の少ないハイゲンス式でしょうか?詳しいかた教えてくださいませ。対物レンズ側はアクロマートレンズであることがめちゃくちゃ強調されているのにね。

 接眼リングには照準がついており、先述の対物レンズユニットの照準と合わせて使います。

・鏡筒と中間リング

 こちらが望遠鏡の筒部分である「鏡筒(きょうとう)」です。鏡筒は2つ付いていてそれらを中間リングで繋げる形になっています。

 この鏡筒がラップの芯みたいな紙筒でできていて一見安っぽいのですが、この筒を包み込むように貼るシールがついていて、このシールが割としっかりとした素材で光沢感があって紙筒の安っぽさを覆い隠してくれます。

 筒の中はちゃんと黒く塗られていますね。これがもし真っ白だったりすると鏡筒のなかで光が反射してしまって景色が見えにくくなってしまいます。こういうところを観察しながら組み立てられるのもキットの良いところですね。お子様と一緒に作られる際にはそういった説明をしてあげながら作るのも楽しいと思います。

 「中間リング」には三脚に取り付け用のネジ穴があるのでお手持ちの三脚にそのままセットすることができます。三脚は別売なのでご注意を。天体観測をするには三脚は必須レベルのものですのでねじ穴があるのはとてもありがたいですね。100円ショップなどでも500円程度から三脚が売っているのでとりあえずはそれで十分です。(100円ショップで500円とはこれ如何に。)


いざ組み立て:重さや大きさは?

 組み立ては超簡単。鏡筒にレンズユニットをそれぞれはめ込んで、それを中間ユニットで繋ぐだけ。上下の向きはありますが、はめ込んでいるだけなので簡単に調整可能なので神経質になって組み立てる必要はありません。組み立て時間は5〜10分もあれば余裕です。万が一間違えてもすぐ取り外せますしお子様一人での組み立ても可能な作りになっています。対象年齢は6歳以上となっていますが、大人の方と一緒なら作っている最中に壊しちゃうなんてことはほとんどないんじゃないかってくらい簡単です。

 完成品がこちら。出来上がって見た印象は「おお、めちゃカッコイイ!」でした(笑)鏡筒シールのおかげで安っぽさもなく基本の素材が紙とプラスチックなのでとても軽くて手に持って覗くにしても全然苦にならない重さです。25倍の接眼レンズを取り付けての重さで203gでした。スマホよりも少し重いかなという程度の重量です。そうなると紙筒製というのも悪くない気がします。

 大きさは対物レンズユニットから接眼リングまでで33cm弱(パッケージには325mmと記載)。天体望遠鏡としては小ぶりながら存在感は十分でお部屋のちょっとしたインテリアにもなりそうな質感2,750円(税込み)とは思えないほどの完成度です。

 三脚に取り付けてみたところ、これがまたカッコイイ!大きな天体望遠鏡だとインテリアとして置いておくには邪魔になりそうですが、コレならそのまま置いておいても良さそう。また大きな天体望遠鏡は保管するためにバラすので使いたい時に取り出して組み立ててと手間もありますが、ちょっと星が見たいなぁって気分の時にお手軽お気軽にヒョイっと手に取れそうですね

 そして「さっそく月を見てみよう!」とワクワクして外を見てみるとあいにくの雨模様。しかも二日連続。月の観測はまだお預け状態。天気の良い日に写真が撮れたらこちらでまた紹介しますね!


使用上の注意

 ここで再度の注意点。昼間に望遠鏡を使う場合、絶対に太陽を見てはいけません。たとえ雲に隠れていたとしても絶対にです。そしてもう一つ大事な注意点他人のプライバシーを決して覗かない。こちらはそのつもりがなくても、望遠鏡がこちらを向いているのがわかるととても気持ちが悪いものなので、望遠鏡を覗く際やお子様が扱われる際には十分に注意してくださいね。

 他にも注意点がキットに記載されていますので、保護者の方はしっかりとお子様に伝えてあげてください。

 またインテリアとしても良いとは行ったものの、窓際での放置は火事の原因にもなりかねないのでやめておきましょう。虫眼鏡で太陽の光を集めて紙が燃えるのと同じことが望遠鏡でも起こりえますし、もし何気なく覗いた時に太陽の方に向いていたら大変です。

 簡単に始められるお手軽キットとはいえ、取り扱いは普通の天体望遠鏡と同じように十分に注意しましょう!


望遠鏡の発明とガリレオの観測

 ここでちょっと小咄を。望遠鏡は1608年にオランダのリッパーシェイによって作られ、特許を”申請”したことが最初だと言われています。リッパーシェイはメガネのレンズ製作者です。ある日、お客さんが2枚のレンズを組み合わせて覗き込んでいるのを不思議に思いリッパーシェイも同じように試して見たところ、なんと遠くのものが大きく見えるではありませんか!

 そこでリッパーシェイは筒の両端にいろんなレンズをはめ込んで試行錯誤しながら望遠鏡を発明したのでした。こりゃすげぇもんを発明したとリッパーシェイは特許申請を出願したのですが、「ただ2枚のレンズと筒を組み合わせただけ」という単純な構造であることから特許が認められず、同時期にリッパーシェイと同じように”望遠鏡”の仕組みを特許申請した者たちも現れましたが同じ理由で特許は認められませんでした

 リッパーシェイの発見のきっかけが”お客さん”であったことからも、2枚のレンズを組み合わせると物が拡大されて見えるというのは結構多くの人に知られていた現象だと考えられ、望遠鏡の発明自体もリッパーシェイ以前にされていたと言われています。

 しかし、リッパーシェイ以前の発明を証明するための資料が残っておらず。そのため、公的な記録として残っていた最古のものとして「リッパーシェイの特許の出願申請」の記録が望遠鏡の発明の原点とされています。

 そんなリッパーシェイの発明と奮闘が当時イタリアにいたガリレオ・ガリレイの耳に入り、ガリレオ高性能な望遠鏡の研究開発を行いました。このガリレオの研究により、レンズの焦点距離や倍率などといった光学的構造が明らかとなります。そうして高倍率の望遠鏡を完成させたガリレオは人類で初めて、本格的に望遠鏡を空へ向けることにしました。

 ガリレオは望遠鏡で月の表面の凹凸を発見したくさんのスケッチを残しています。このガリレオによる月のスケッチ星(衛星)の動きの発見は「天体望遠鏡ウルトラムーン」のガイドブックにも紹介されていて、その観測の仕方まで丁寧に解説してあるのでガイドブックを読むだけでも結構楽しめますよ!


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