先日、非常に興味深い動画がYouTubeにアップされていました。
吉本興業所属のお笑いコンビ「かまいたち」のYouTubeチャンネルにて「【検証】かまいたちが「どちらにしようかな?」選び歌が地域によってどれだけ違うか検証してみた!」と題する動画が投稿されました。
大阪活動時代から好きな芸人コンビのひとつであった私はもちろんチャンネル登録済み。動画のタイトルからして興味深かったため早速試聴いたしました。
動画の詳細はは皆様に見ていただくとして、「どちらにしようかな♪」のリズムで物事を選ぶ遊び歌が地域や個々によって異なると言う内容。
これは小学生時代に誰もが経験したであろうことかもしれません。ジュースの味やお菓子を選んだり、時には鬼ごっこの鬼を決めるときに使った経験もあるかと思います。
そんな時、自分の「どちらにしようかな…♪」を友人に「え、何それ?」と指摘されたり逆に指摘したりと言うことが多々あったのではないでしょうか。
ちょっとだけ違ったり、はたまた全く違ったり、細かい部分や言い回しが違ったりとその差異は様々ですが、自分の周りの友人という極めて近しい仲であっても(ときには兄弟姉妹同士であっても)その内容が異なることが多くあります。
かまいたちのお二人も動画内で全く異なる”選び歌”を口にし、マネージャーさんや作家さんもまた異なる”選び歌”を口にしました。
そこでかまいたちのお二人は「どれが正解かわからない」「コメント欄に私の地元ではコレですと言うものを書き込んでください」と提案。
すると動画のコメント欄には7700件(2021年8月15日現在)を超える書き込みが殺到し視聴者の皆様が自分の「どちらにしようかな」を見せ合います。
どれどれとコメントを見ていくと、ものの見事に”自分と同じもの”がありません。聞き覚えのあるフレーズや全く覚えのないものまで様々あり、こんなのもあるのかふむふむと見ていくうちに地域や地方によって偏りやパターンがあることが見えてきました。
そこで簡単な統計を取り、地域差や特定の地域独特の”選び歌”があるのかを検証してみることにしました。
目次
・2014件のコメントを抽出
・「どちらにしようかな」の派生系
・「神様」「天の神様」「裏の神様」「裏の権兵衛!?」
・鉄砲撃ってバンバンバン!
|-すっぽろぽんな新潟
・ぷっと屁をこく関西人
|-あっぷっぷ系
・中国・九州地方「ゲゲゲの鬼太郎」の独壇場
・「かきのたね」は亀田製菓の陰謀か?
・アブラムシの湧く西日本
・ナスビ大好き北海道なのな
・祖父母が腰を抜かす東北。岩手はトンボ飛びすぎ。
・カラフルな豆たち
|-ギッタンバッコンする静岡
・東日本は箱が好き
・沖縄の月火水木金土日さようなら!
・余談:あのねのね「赤とんぼの唄」
・柳田国男著「蝸牛考」の「方言周圏論」を持ち出せないか
2014件のコメントを抽出
統計とはいえ私は統計学を専門にやったわけでもないのであくまで個人的な調査レベルですが、サンプル数は多いに越したことはありません。
とりあえず統計学上のサンプル必要数の目安とされる2000件の「どちらにしようかな」を抽出しました。
地域差や地域別の特色をより正確に集めるのであれば都道府県別に2000件のサンプルを集めるべきかもしれませんが、そもそものコメント数が8000件ほどですのでそれは現実的でない。
ですので出来る限り無作為に2100件ほど抽出し、そこから地域のわかるもの(コメント欄に記載されているもの)2014件を対象に調査することにしました。
ということで集計の結果をお見せしたいところですが、割と膨大な量になってしまったのでこん感じでやってましたよって画像を載せるに留めておきます。
記事もあまりに長くなりすぎるのもなんなので、ほとんど文章での説明となります(落ち着いたら再編集して見やすくするかもしれません)。
やはりサンプル数が地元関西、特に大阪は突出して多くなってしまいました。しかしながら全体を地域区分(東北・近畿など)を合計した割合で示すとそれぞれ全体の5%〜15%ほどに収まるのでまぁ良しとしましょう。
と言うことで早速集計結果に行きましょう。
「どちらにしようかな」の派生系
まず絶対に同じだろうと思っていた「どちらにしようかな」の部分。
まず持ってコメント欄でも指摘されているように「どちらに」なのか「どれに」なのかは目の前の選択肢の数によっても変わると思いますので、これはケースバイケースで皆さん使い分けていたのでしょう。
さらに作家もりしーさんはイントネーションが違うと動画内で指摘されていましたが、流石にコメント欄でイントネーションまでは把握できないので考察は割愛。
ただ、抽出した2014件の中には「どちらにしましょうか」や「どちどちどちらにしようかな」などの変形も少数ですか見受けられ
「どおちにしようかな」や「どっちにしようかな」なども見受けられたため、イントネーションや言い方、歌い方にもいろいろあるようです。
ただし、それらの変形は極めて少数であり大多数のコメントが「どちらにしようかな」もしくは「どれにしようかな」でした。
「神様」「天の神様」「裏の神様」「裏の権兵衛!?」
次に出てくるフレーズ「神様の言う通り」ですが、これもまた興味深いデータが出てきました。
まずは「神様」に「天の」が付くか否か。
これは「天の」が付くのが全国平均で69.8%あり、およそ7割の人が「天の神様」と付けているようです。
しかしそんな中、日本海側の北陸地方は「新潟」が22.6%、「富山」が41.7%、「石川」が53.8%と軒並み低くなり、東北地方に入ると「宮城」の53.1%を頭に「福岡」で27.3%、以降北に行くにつれ20%を切ります。
「山形」は母数が少ないとは言え22件中0件の0%。北海道では122件と母数が多いものの6.6%しか「天の」が付きませんでした。
大して東海地域から西日本に行くにつれ「天の」が付く割合は80%〜90%になり、九州に至っても(九州全体で)92.9%に上ります。
がしかし、沖縄で急になぜか「天の」がつかなくなり10%にまで激減。
確かに九州内でも南に行くにつれて若干の数値の低下が見られます(福岡が92%に対し鹿児島では83%と下がっていく)が、沖縄に行くと急に10%まで下がると言うのは…不思議です。
さらに、関西圏内では軒並み90%前後であるのに対し「奈良」76%。「和歌山」では50%にまで下がります。そして四国「高知」では40%。
これには「奈良」では「大仏」に聞くと言うものが数件あり、地域性が見られるということもありそうです。
そして「和歌山」「高知」では「裏の神様」と言う表現が目立ち「天の神様」の数値を下げています。
さらに中には「裏の権兵衛さん」や周辺地域で「裏の和尚さん」なども少数見受けられる結果となっています。
不思議なことに「仏様」は極めて少なく、今回の集計では全国で数件のみ。それも「神様と仏様の言う通り」と言ったもの。「仏」単体で出てきたものは1件ありましたが、日本仏教的な先祖供養の感覚では「ホトケ様」はあまり使われないような気もしますね。
鉄砲撃ってバンバンバン!
いよいよ差異が大きくなる部分です。「どちらにしようかな、天の神様の言うとおり〜♪」までは大体同じであったとしても、この先の文言はほんとに人によって異なりますよね。
全国的によく使われているのは「鉄砲撃ってバンバンバン」系でした。
全国の平均では43%もの使用率があり、北は北海道から南は沖縄まで最低でも20%以上の使用率がありました。
中でも「北関東・甲信」67.4%、「南関東」では85.6%もの使用率で、沖縄に至っては85%と非常に高いです。
北陸地方も「鉄砲撃ってバンバンバン」系が50%〜80%と高い中、「新潟」だけが9%と激減します。
すっぽろぽんな新潟
では「新潟」では何を使っているかと言うと「すっぽろぽん」の使用率が非常に高く、他の地域ではほぼ見かけません。なぜか「新潟」には「拳銃」が伝来せず「すっぽろぽん」が生み出されたようです。
一方、関西では「近畿地方」26.0%、「中国地方」で30.7%、「九州」で28.3%と全国平均よりもやや低くなっており、関東圏と比べればその割合は半分以下です。
これにも理由があるのですが…他府県の人にはちょっと驚かれるかもしれません。
ぷっと屁をこく関西人
「拳銃撃ってバンバンバン」の使用率が低い「近畿」「中国」地域ですが、「近畿」地域では代わりに「ぷっとこいて ぷっとこいて ぷっぷっぷ」と言ったような「オナラ」系が非常に多くなります。(中国・九州地方はまた後ほど)
このオナラ系の近畿地方での使用率はまさに驚異的で、「滋賀」「京都」「大阪」「兵庫」「奈良」「和歌山」の集計のうち50%にまで上ります。
「和歌山」だけがなぜか「ぷっとこく」率が9%と極端に下がるのですが、「兵庫」で30%。「滋賀」で40%、「大阪」で54%と上がり…
なんと「京都」では84%が「ぷっとこいて」ます!
もうね、ほとんど京都です。たぶん日本国内のオナラのほとんどは京都から出てます。(ジョウダンだよ。)
驚異的なオナラ率の京都はまぁさておき、興味深いのは「兵庫」です。
「兵庫」の人たちはオナラが恥ずかしいのか(いや、誰でも恥ずかしいわ)、直接的な「ぷっとこいて」を使いたがりません。
「兵庫」では「ぷりっぷりっぷりっ」と言う可愛らしい表現になっており、「こいて」の表現もあるにはありますが「かいて」に変わっています(これは方言か?)。
「ぷりっぷりっぷりっ」の表現はほぼ「兵庫」でしか見られず、大阪・京都の「ぷっとこいて」に引っ張られながらもなんとかお上品さを保とうとする気概に「ぷっ」と吹き出さずにはおれませんね。
また、この「ぷりっ」に引っ張られてか派生系に「プリンプリン」や「生プリン」も見受けられました。
あっぷっぷ系
かまいたちの濱家さんが「あっぷっぷ」の入った「どちらにしようかな」でしたが、「”にらめっこしましょ あっぷっぷ”とか言うやん」と仰っていたので全国的にどうのか調べてみました。
「にらめっこしましょ あっぷっぷ」は確かに全国的に言われているようですが「どちらにしようかな」につけるのは一般的なのでしょうか?
これがどうにも関西圏のみに限定されるようで、「近畿地域」で10.5%、「東海地域」で7.8%。他地域では「北陸地域」に3.6%あるだけで全国的に使われているわけではなさそうです。
最も多いところで「大阪」の16.8%と「奈良」の15.8%であり、近畿圏でも少数派であることがわかります。
ただ、これはおそらく「ぷっとこいて」の派生系ではないかと私は感じました。
と言うのも実は私も大阪出身で「どちらにしようかな」に「あっぷっぷ」が入っています。そして「ぷっとこいて」も知っています。
そして私は「ぷっとこいて」は恥ずかしくて使いたくなかったので「あっぷっぷ」を使っていました。
派生系と言うか代替系と言うか、「ぷっぷっぷ」と言う音色を他に変えるなら「あっぷっぷ」がベターであったのかなと感じられるのでした。
中国・九州地方「ゲゲゲの鬼太郎」の独壇場
「鉄砲撃ってバンバンバン」の使用率の少ない中国地方と九州ですが、この地域では「ゲゲゲの鬼太郎」が子供達の運命を握っているようです。
口上としては「ゲゲゲのゲ」が多く「ゲゲゲの鬼太郎」が登場する場合には「ゲゲゲの鬼太郎屁をこいた」など近畿圏の影響を若干受けてか「屁をこかされる鬼太郎」がよく出来てきます。
これが九州に入ると「ゲゲゲの鬼太郎ご飯粒」や「ゲゲゲの鬼太郎アブラムシ」などといった別の言葉とくっつく形で登場し、「ゲゲゲのゲ」もやはりあり、パターンとしては「ゲゲゲのアブラムシ」と言うものもありました。
そしてこの「中国」「九州」地方でも一つよく見かける要素が「毛虫」です。
「けけけのけ」や「けっけのけ」から「けけけの毛虫」「ゲゲゲの毛虫」も見受けられました。
「毛虫なんて全国どこでもいるだろう」と思い全国を調べてみると、なんと九州で27.9%の使用率があるのに対し、同じ「ゲゲゲ」系の中国地方ですら使用率8.5%、そのほかの地域では各地域で数件あるかどうかと言うところ。
これは完全に「ゲゲゲの鬼太郎」から「けけけの毛虫」に派生していると見て良いものではなかろうかと感じでいます。
ううむ、興味深い。
「かきのたね」は亀田製菓の陰謀か?
全国的に広く見られる要素として「かきのたね」があります。
全国の使用率は37.6%にもなり3人に1人は「かきのたね」と言っているであろう数値になりますね。
その使用率は都道府県によってかなりばらつきがあるものの、地域ごとに見て最低でも十数%以上の使用が見られます。(が、沖縄では0%。なんで?)
中でも近畿地域は77%の使用率となっておりダントツで高く、次いで四国の54.2%、中国地方の34.6%といった具合です。
コメント欄でも「かきのたね」が散見されるため「亀田製菓の陰謀か(笑)」と言われていたりしましたが
亀田製菓の本社がある新潟での「かきのたね」使用率は9%と都道府県別で見て下から5番目くらいの低さです。
もし亀田製菓さんの陰謀であるならばまずは「新潟」で頑張ってもらわなければなりませんね。まぁお菓子の「かきのたね」は言わずと知れた全国区のお菓子ですから今更「どちらにしようかな」でサブリミナル効果を期待する必要もないでしょう(笑)
大阪のテレビから売れっ子になったかまいたちのお二人という性質上、コメント欄も大阪からのコメントが比較的多く「かきのたね」が目に入ることも多かったでしょう。
ともあれ全国的に使われる「かきのたね」がなぜ関西圏で突出して多いのか。「かきのたね」の文言が関西圏で使われ始めたのだとしても、なぜ「かきのたね」なのか。
うーん、謎だ。
アブラムシの湧く西日本
かまいたちさんの動画内で山内さんの「どちらにしようかな」には「アブラムシ」が入っていました。
「アブラムシなんやねん」と濱家さんからツッコまれていましたが、この「アブラムシ」が頻出するのが近畿以南になります。
近畿地方で28.3%、中国地方で7.8%と下がり、四国で16.7%とまた上がります。
さらに九州では22.6%にまでなり、なんと沖縄では72%にまで突出して跳ね上がります。
東日本側になると東海地方で3.5%になって以降、東北で数件見られるだけでほぼ出てきませんでした。
と、話の流れでここまで割と西日本を中心にピックアップしてしまいましたが、次は東日本へ目を向けてみましょう。
ナスビ大好き北海道なのな
もうコメントの抽出中から気づいていましたが、明らかに北海道では「ナスビ」が多い。
なんとその使用率74.6%!
「なのなの茄子」「なぞなぞ茄子」や「茄子のハゲ頭」から「茄子のかきのたね」や「茄子が焼けたかな」などなどいろんなパターンで登場しまくる茄子たち。
ナスの産地といえば「高知」「熊本」「群馬」がトップ3だそうですが、北海道は10位にも入っていません。
なんで茄子なんだ北海道。
これに加えて「茄子」につられてか「なのなのな」と言う文言が多く、「茄子」が先か「なのなのな」が先かが気になってきました。
と言うことで「なのなのな」の使用率を調べたところ、なぜか「南関東」で46.3%の使用率があることが判明。
特に神奈川では76%も「なのなのな」が含まれていました。次いで東京の44%、千葉の33%と続きます。
東北になると「秋田」「岩手」「青森」で10%ちょっとの使用率が見られますが、北海道で65.6%にまで急に跳ね上がります。
関東圏で生まれた「なのなのな」が伝播して東北に行き、北海道に入ったところで爆発的に増えたのでしょうか。
北海道で無意味に「茄子」が使われていることから察するに「なのなのな」が先に伝播してからそれに合わせて「茄子」がくっついた形になったのではないだろうかと推察しておきます。
そして関東圏で生まれた「なのなのな」は、おそらく「どちらにしようかな」に付随する形で「どちらのしようかなのなのな」といった具合に決めかねた指を移動させるための文言から派生し分離したのではないかと私は考えております。
祖父母が腰を抜かす東北。岩手はトンボ飛びすぎ。
コメントを集めているときに北海道の「茄子」のように気がついたのが、東北は「祖父母が登場しがち」と言うこと。
数としては多くないものの、祖父母の登場頻度は突出しています。
「じっちゃかばっちゃかなのなのな」や「神様の言う通り じっちゃかばっちゃか言う通り」といったように神様と同列扱いされているものがある一方で、「じっちゃんばっちゃん腰ぬけた」が10件ほど見られるなど、
おじいちゃんおばあちゃんが近くに住んでいたり地域社会の繋がりが強いイメージもあるのでそういった理由からでしょうか。
それと集計中にやたらと「トンボ」を見かけるなと思ったらこれも東北でした。
他地域では「トンボ」の使用率は高くても3%未満の使用率でしたが、東北地方では8.2%。特に岩手では38%と突出しています。
カラフルな豆たち
「赤豆白豆天の豆」「赤豆青豆天の豆」「白豆 黒豆 天の豆」「黒豆 白豆 茶色豆」「赤豆白豆サンド豆」
これらカラフルな豆が登場するのも東北の特徴でした。特に「宮城」25.0%、「福島」では66.7%と高く、宮城は「大豆」の生産量が2位だそうです。
福島は宮城のお隣ですし、これは産地という点で地域性がありそうですね。
豆が登場する場所がもう一つあります、それは「静岡」です。「静岡」では41.8%もの使用率があり、特に周りが豆の山地に囲まれているわけでもなくなぜか静岡だけが豆マメ言っています。
あと「サンド豆」ってなんやねんと思って調べたところ、年に3回収穫できる豆類のことを指すようです。子供たちはそれを知って「サンド豆」と言っていたのだろうか…。
ギッタンバッコンする静岡
「静岡」の話題が出たのでもうひとつ特徴を。
「静岡」ではなぜか「ギッタンバッコン」というワードが頻出します。「静岡」だけで「ギッタンバッコン」系が25件もあるのです。その使用率なんと37.3%!
他地域でない事はないのですが、あっても1〜2件。ほとんど出てきません。
私は幼少期に公園の遊具である「シーソー」のことを「ギッタンバッコン」と呼んでいましたが、静岡他の方達は「シーソー」のことを指しているのでしょうか?
公園の遊具系では全国集計で「すべり台」が数件ありました。
それと「リスリスコリス」と言った具合に「リス」も「静岡」に比較的多く見受けられました。他府県で「リス」が見られるのは「新潟」に3件、「東京」で3件ほどです。
東日本は箱が好き
東日本という大きな括りで言うと、「箱」の使用率が高くなります。
「玉手箱」「玩具箱」「薬箱」「宝箱」と言った箱系の文言が多く、「箱」と言う括りで集計すると
「北関東・甲信」で10.6%、「南関東」11.6%、「北陸」8%、「東海」4.8%となります。
数字的には低いように見えるかもしれませんが、西日本で「箱系」はほぼほぼ登場しません。九州全域で2%ある程度です。
この箱系はその使用頻度からおそらく「玉手箱」が原始的な文言であっただろうと考えられます。そこへ5文字のリズム感の箱系が追加される形になっているのではないかと思われます。
沖縄の月火水木金土日さようなら!
全国的に見て北海道と沖縄はやはりなんだか少しだけ特殊な印象を受けます。北海道では「茄子」が突出して多く他府県では見られない文言でしたが
ぐるっと南側「沖縄」では「月火水木金土日」と曜日を読み上げる傾向があります。
その使用率64.1%!
「沖縄」は西日本側としては「鉄砲撃ってバンバンバン」の使用率が高いのですが、そこに「月火水木金土日」と付け加えるパターンが見受けられます。
西日本では「12345678910」と数を数える傾向も見られるのですが、沖縄になると「月火水木金土日」が急に登場します。
九州は宮崎で18.2%と少しありますが、他ではほとんど見られません。
また最後に「さようなら」「また明日」と言った文言も見られることが大きな特徴です。
「沖縄」といえは日本有数の観光地。旅人や旅行者を見送ることが多いのでしょうか……。
余談:あのねのね「赤とんぼの唄」
1973年、「赤とんぼの唄」というフォークソングがありました。これを歌っていたのは「あのねのね」というフォークデュオです。
歌詞の中には「赤とんぼ」「かきのたね」「アブラムシ」と言ったワードが出てきます。
そう、これらのワードが「どちらにしようかな」の選び歌に頻出するのです。
「ねのねのね」も「どちらにしようかな」で使われているものが複数あり、なんだか関係のあるような無いような……。
この歌が出た当時、私はまだ生まれていないのでこの曲の以前と以後で「どちらにしようかな」の文言に変化があるのかどうかとても気になるところ。
柳田国男著「蝸牛考」の「方言周圏論」を持ち出せないか
民俗学者である柳田国男が「カタツムリ」の呼び方を日本全国から収集し、その語源を辿ることで
方言が同心円の中心地から周辺へ向かって伝播していったのではないかと仮説した「方言周圏論」というものがあります。
これを「どちらにしようかな」にも適用する事は可能でしょうか。
先述の通り、「北海道」と「沖縄」は全国的にみて少し特徴のある「どちらにしようかな」であることがわかっています。
大きなところで言えば「北海道」も「沖縄」も「天の神様」ではなく「神様」であったり、「北海道では茄子」「沖縄では曜日」と言った具合に特色があります。
さらに言えば「大阪・京都」を中心とした関西系と、東京を中心とした関東系で大別することができ、また間に挟まれた「東海地域」では主だった特徴はなくどちらかと言えば頻雑としていること
東北で目立つ「豆」系が「静岡」では急に増えたり、関西圏で使用率の下がった「鉄砲」系が沖縄では非常に多くあったりと「方言周圏論」で説明が”付きそう”な集計結果が見られます。
ただ、今回の集計では年代までは把握できないため、変化の変遷やどこからどのように伝播していったのかは憶測の域を出ません。
ですので、「方言周圏論」を持ち出したとて2014件のコメントを抽出したとは言えサンプル数は少なすぎるように思います。
しかしながらそれぞれの地域性は少し見えた気がしますね。
なかなか面白い夏休みの自由研究でした。