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【”考える”という楽しさ】信号の色の順番を論理的思考で解く

 普段私たちは視界に移るほとんどの物事を無視して生きています。自分にとってその時に重要である事柄さえ”見えて”いれば日常生活は何不自由なく送れるわけで、いちいち全ての視覚情報を認識し覚えている必要はありません

 こうした認識論的な問題や人の記憶の曖昧さを証明する際に「信号の色の順番を覚えてる?」という質問があります。

 さて、あなたは信号の3色の順番を覚えていますか?

 すでにこうした問題を出題されて調べたことがあるという方や意識的に信号機を見たことがあるという方にとっては”記憶”として「信号気の3色の順番」を覚えていることでしょう。

 しかーし、これからするお話はそんな「記憶の問題」ではなく、視点を変えて「思考の問題」としてこの信号問題を解決しようと言うお話です。

 先に答えを出してしまいましょ。日本における信号の3色の順番は「左が青(緑)」「真ん中が黄色」「右が赤」ですね。

 この答えを記憶に頼らず論理的な仮説に基づいてどう考えて導き出すか。そしてその仮説が正しいかを検証し、その結果から新たな仮説と検証を行い、例外を見つけて新たな疑問へと発展させていく。

 この思考プロセスは何も信号の色の順番に限ったことではなく、日常のさまざまな問題解決に有用であると思うと同時に「知の探求」という楽しみを与えてくれるものだと感じています。

目次
・思考のプロセス「事実の整理」「推測」「仮説」「検証」信号の順番問題を論理的思考で解く仮説の検証を見逃さない例外から見える新たな疑問さらなる知の探求へ

思考のプロセス「事実の整理」「推測」「仮説」「検証」

 思考する時に重要なプロセスは基本的に次のような4段階あります。

【第1段階:事実の整理】まずはすでにわかっていることを整理することから始めます。

【第2段階:推測】次に客観的な事実や自明の事柄から未知の部分を推しはかります。

【第3段階:仮説】そして「事実」から導かれる「推測」から「〇〇であるなら、答えはこうではないか?」と自分なりの答えを導き出します。

【第4段階:検証】最後に自分なりに導き出した答え(仮説)と現実にある答えとを照らし合わせてその仮説の何が合っていて何が間違っているのかを確かめます。

 第4段階までで終わっても良いのですが、個人的には次の過程に行きたいところ。

【第5段階:疑問の創出】検証が終わると新たな疑問が出てくることがあります。この時に湧く疑問というのが単に受動的な疑問であることもさることながら、疑問を自分から能動的に見つけていくというのも楽しいものです。

 「検証」については”答えのないもの”や”答えのわからないもの”もありますね。私は普段、イベントなどの企画立案運営の仕事をしていますが、集客や収益などの”結果”が答えとなるような場合には「仮説」と「検証」の積み重ねがとても重要だとつくづく感じます。

 今回の「信号の順番問題」の場合には答えは決まっているので「検証」は簡単なものでしょう。ただし、重要なのは”答えの正否”ではありません。後に述べますが、”仮説の正否”こそが重要なのです。


信号の順番問題を論理的思考で解く

 では実際に「信号の順番問題」を先の思考プロセスになぞってやってみましょう。

 まず「事実の整理」から。
どんなに小さなことでも良いので事実を列挙し整理することは大切です。

事実の整理①】各色がランダムな配置になっているとは考えにくいです。それは「黄色」が真ん中であると言うことが”記憶”として自明です。

事実の整理②】さらに、その信号を誰が見るべきか。これはドライバーであることは自明です。

事実の整理③】そして日本の車はそのほとんどが右側ハンドルであり、ドライバーは右側に座っていることが大半です。

 ここから推測に入ります。

【推測①】「信号の色の順番を問う」ものであることと「黄色の位置が決まっている」と言うことから、「青」と「赤」の位置も決まっているだろうと推測できます。

【推測②】次に需要なのは信号において一番大切な色は何色かと言うこと。交差点の信号が万が一の不具合で「どちらも青」もしくは「どちらも赤」であった場合に”どちらが安全か”を考えれば自ずと「赤」が重要であることがわかります。

【推測③】信号機を一番に見なければならないのはドライバーであり、「推測②」から”赤の信号”をドライバーが一番視認しやすい位置に置くべきであると考えられます。(推測3)

 これら「3つの自明の事実」と「3つの推測」から仮説を立ててみましょう。

【仮説①】最重要の赤信号を右ハンドルのドライバーにとって一番見えやすい右側にすべきではないか?

【仮説②】赤信号が見やすい位置にあるのであれば歩行者信号では”上”に赤信号があるのではないか?

【仮説③】縦型の信号機でも歩行者信号と同様に一番上が赤ではないか?

すなわち、 問題の信号の順番は右から「青・黄・赤」であろうという仮説を立てます。

 と、ここまでで「仮説」として信号の順番は右から「青・黄・赤」であることを導き出し、さらに別の信号機の場合についても仮説が上がりました。

今回は簡単な例として各項目3つずつ挙げてみましたが、「事実の整理」は小さなことでも良いのでできるだけ沢山。「推測」も考えうる限り出してみた方が良いでしょう。そして「仮説」についてはだけはできるだけ簡潔にしたほうが頭の中がスッキリしてこの後の検証がやりやすいです。

では、次にいよいよ検証です。


仮説の検証を見逃さない

 信号気の色の順番を確かめるには一歩外へ出ればわかりますし、ネットの画像検索を使うのも良いでしょう。今回はGoogleの画像検索をしてみましょう。

 「信号機」で検索をかけてみました。著作権の観点から全体にモザイクをかけていますが、信号の色の順番はわかりますね。立てた仮説どおり右から「青・黄・赤」であることがわかります。

 やったー!仮説から答えが導きだせたぞ!と喜ぶのはまだ早い。ここで終わってしまってはせっかくの思考を台無しにしてしまいます。

 と言うのも、ことによっては答えは合っていても仮説が間違っている場合があるからです。

 仮説から導き出した自分なりの答え現実の答えが間違っていた場合には多くの人が「仮説が間違っていたから答えが間違っていたんだ」と気づくのですが、考えと答えが合っていた場合に”もしかしたら仮説は間違っているかもしれない”と考える人は結構少ないものです。

 もしこの仮説が間違っていたとしたら、今回の”正解”はたまたま合っていただけかもしれませんし、次に同じような問題が起こったときに間違った仮説をそのまま使ってしまうかもしれません。

 ですからたとえ答えが合っていたとしても”仮説の検証”は大変に重要なものとなります。

 では、今回の「信号の順番問題」で導き出した仮説を検証してみましょう。これもネット検索でサクッと出てきます。以下は「日本自動車連盟(JAF)」のwebサイトからの引用です。


交差点に設置されている一般的な横型の信号機は、左から青・黄・赤と色の順番が決められています。これは信号機で重要な色道路の端から中央寄りに置くことで、ドライバーに見やすくするのが主な目的です。一般的にはドライバーが右側に座っているので、赤信号も右側にあったほうがより注意を促しやすくなります。もし街路樹の枝が伸びて信号機にかかり灯火が見づらくなっても、赤信号の右側は影響されにくい場所でもあります。

また降雪量の多い地方では、雪が信号機に積もらないように縦型を採用することがあります。このタイプも、見やすさを考慮して赤が一番上になっています。このように信号機は、数々の工夫を組み込みながら信号機としての役割を果たしています。

[Q]なぜ信号機は赤黄緑の3色が使われているの?(JAF)

 と言うわけで、【仮説①】【仮設③】についての仮説が合っていたことがわかりました。そして【仮設②】の歩行者信号についても縦型信号同様の理由で赤が上であることがわかります。(歩行者信号だけ赤を見にくい下にする理由がありませんからね。)

 このように立てた仮説に対して現実に即した答え合っているか否かに関わらず本質的な部分までしっかり調べることで第三者に説明する時にも”仮説”ではなく”事実”を伝えることができます。こまでやって初めて「検証」と言えるのではないでしょうか。


例外から見える新たな疑問

 自分で立てた仮設と実際の規定や事実とについて確かめることができたなら、次はその発展形を考えていきます。

 先の事実を元にして次のように考えてみます。日本以外の国ではどうなのか。特に「左側ハンドル」の国では「赤信号も左側」なのではないか?と言う仮設を立ててみましょう。

  この仮説についてもGoogleで画像検索してみましょう。

 ここで面白いことがわかりました。「海外 信号機」で画像検索してスクロールしながら見ていくと、出てくる信号が「縦型」であることが多いのです。

 日本でも縦型の信号機はたまに見かけますよね。特に雪の多く降る地域では信号機の上に雪が積もりにくいように縦型の信号機が採用されているというJAFの話もありました。

 昨今ではLEDの普及もあって信号機が自体が薄くなったと言うことから雪の多い地域でも横型の信号機が使われ始めたそうですが、LEDはあまり熱を出さないと言う”利点”がこの時ばかりは”欠点”になり薄型の信号機に積もった雪が溶けないため結局雪が積もってしまったなんて話もあります。(この辺りの問題もしっかりを対策されています。

 閑話休題。

 さてはて、どうやら海外は縦型の信号機が多いぞ?と言うことでもう少し調べてみると、実は世界的には縦型の信号機が標準的横型の信号機が多い日本こそが例外的であることがわかりました。(筆者調べ)

 なんと例外は日本だったのです。

 そしてやはり海外の縦型信号機一番上が赤信号です。もう少し調べていくと海外にも横型の信号機という”例外”があって、その場合には左ハンドルの国ではやはり赤信号は左側に設置してあります。

 このように仮説に対しては一応の答えが出ましたが、世界標準は縦型信号であることや各国で色が同一であることも疑問としてさることながら表示が「矢印」であったり「文字」や「秒数」と言うものも見かけます。

 どうやら私たちが日本での生活日常的にみている”当たり前の信号機”世界的に見れば例外的であり、さらに海外の国々では各国の例外的な信号機事情があるようです。


さらなる知の探求へ

 「信号の色の順番」から話が脱線し出しましたね。しかしこの脱線こそが思考の楽しさだと私は感じています。

 なぜ日本の信号機は横向きが一般的なのでしょう?

 そもそもなぜ世界では縦型が主流なのでしょう?

 矢印での表記や秒数は何を表しているのでしょう?

 などなどたくさんの疑問が湧いてきませんか。これらの疑問についてはネットでちょっと調べれば案外すぐに答えが出てくるのですが、この”楽しみ”は読んでいただいている方々にお裾分けと言うことでぜひご自身で調べてみてください

 出てきた答えからさらに疑問が生まれ、そこから仮説を立てて検証し、またさらに新しい疑問が湧いてくる。この連鎖こそが思考の楽しさであり、いくら時間を費やしても終わりのない、そして飽きない私の趣味でもあります。

 一見すれば馬鹿馬鹿しい信号機の色の順番」問題でしたが、脳みそで正面からぶつかってみると案外奥深く楽しめる問題なのでした。

 最後にもう一つ。「緑色なのに”青信号”とはこれ如何に?」これも馬鹿馬鹿しい問題ですが民俗学的にも認識論としても面白い回答が見つかりますよ。と言ったところで今回はこの辺で、んがっんっん。


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