西洋哲学おすすめ入門書:初級〜上級

 哲学というのは沼にハマると難解すぎてついていけないものですが、今回紹介する本はどれも比較的読みやすく、また中級・上級で紹介するものは入門書・概説書として網羅的に書かれているためちょっと哲学に興味あるなこれから哲学について勉強してみようかなという方にはもってこいです。

 私の個人的な意見ですがまずは西洋哲学全体のざっくりとしたイメージを掴んでから自分の気になるジャンルの哲学の専門書を手に入れる方が効率が良いと思います。

 というのも哲学というのは先人の考え方や理論に対して賛同したり批判したりを頻繁に行うため、部分的に切り取って読んでしまうと意味不明どころか間違った解釈で捉えてしまうことが多いからです。

 特に私のような門外漢が下手にちょっとだけ読んでしまうと、なんだか哲学者が語ること全てが正しい認識であるかのような錯覚に陥りがちです。そんな錯覚を起こさないためにも概説的入門書は必読なのです。


初級編:プチ哲学 

『プチ哲学』(著:佐藤 雅彦) 

 哲学用語とか哲学史とか全然わからない。そんな方にまず超初級としてご紹介したい一冊です。

 佐藤雅彦氏の著書『プチ哲学』の良いところは、なんと言ってもその読みやすいさと文章の分かりやすさ

 ひとつの事柄につき3ページほどの短さで、うち2ページは数コマ漫画で、残りの1ページに200文字程度の解説文と言った構成になっています。

 哲学書というと難しい言葉や難解な言い回しがあちこちにあって読み進めるだけでも大変な思いをしますが、こちらには超入門としてご紹介しているだけあって小学生高学年くらいからならスラスラ読めてしまうほどです。

 かと言って大人が読んで面白くないかと言えばそんなことはありません。本書の1ページ目に佐藤雅彦氏からのメッセージ「ちょっとだけ深く考えてみる−それがプチ哲学」と添えられている通り、ちょっとした隙間時間にぺらっと本を広げて数ページ読むだけで日常の出来事に対して”哲学的”な視点や助言を与えてくれます。

 いわゆる哲学用語はほぼ出てこず、用語の解説というよりは「日常の出来事をちょっとだけ哲学的に考えてみよう」と言った感じの内容。

 まだ哲学書って読んだことない読んでみたけど訳わかんないという方はこの『プチ哲学』を読んでみると”哲学者”がどのように物事を考えようとしているのかが少し分かるかもしれません。そして自分自身も何か考えてみようという気分が起きる一冊です。


中級編:イラスト西洋哲学史

 哲学といえばプラトンとかアリストテレスとか、デカルトとかカントとかニーチェとか……そんな名前が浮かぶものの、彼らが一体何を考えて何を言ったのかあまり具体的には知らないなという方にオススメの本があります。

『イラスト西洋哲学史(上)(下)』(著:小阪 修平) 

イラスト西洋哲学史(上):目次
第一章 イオニア自然学とピュタゴラス
第二章 プラトンの二元論
第三章 アリストテレスの体系
第四章 神学という間奏曲

イラスト西洋哲学史(上):目次
第五章 デカルトと明晰な精神
第六章 大陸合理論とイギリス経験論
第七章 カントの批判哲学
第八章 ドイツの観念論とヘーゲル
第九章 マルクス主義と実在論

 本書は元々一冊の大きな単行本ですが、文庫本になったことで上下巻に分かれており通勤通学で本を読むという方はこちらの文庫本がオススメ。上巻が200ページ程度、下巻が300ページ弱なので持ち運び楽々です。

 上巻では西洋哲学の始まりとされる古代ギリシャからヘレニズム文化のなかで生まれアリストテレスの系譜を継ぐストア派キリスト教神学に分類されるスコラ派まで

 下巻では「近代哲学の父」とも呼ばれるデカルトに始まりイギリス経験論ドイツ観念論そしてマルクス主義まで、上下巻にわたって西洋哲学歴史的時系列に沿って網羅的に解説してくれます。

 内容はイラストや写真も比較的多く、文体も非常に読みやすいです。哲学書によくある「だから何が言いたいねん!」っていう部分をとても簡単に説明してくれるので、哲学書を読んだ後のモヤモヤ感が少ない(笑)

 また、少し難しい内容の部分割愛されている部分注釈としてしっかり解説されているので本書を読むだけで西洋哲学のことをまるっと網羅的に学べます。

 哲学書が一般に敬遠されがちなのは、哲学の性質上の言葉の正確性や厳密な言い回しについていけないからという部分が大きいと思うのですが、『イラスト西洋哲学史』ではそう言った難解な言い回しがほとんどなく本を読むのに慣れている方なら比較的スラスラと読めると思います。

 哲学に興味を持ち始めた方なら一度は耳にするプラトンの「イデア論」やデカルトの「我思う故に我あり」などももちろん解説されているので入門書として満足のいく一冊となると思います。


上級編:概説 西洋哲学史

 西洋哲学の人名や用語ならある程度知っているよ!でも、もうちょっと詳しく知りたいな。できれば最近の哲学という学問が何をしているのかも知りたい!という方にオススメ

『概説 西洋哲学史』(編:峰島旭雄 )

概説 西洋哲学史:目次
第一章 ギリシア哲学
第二章 中世哲学
第三章 近代哲学の胎動
第四章 カント哲学
第五章 ドイツ観念論
第六章 現象学と実在哲学
第七章 現代フランス哲学
第八章 マルクス主義哲学
第九章 プラグマティズム
第十章 科学哲学と分析哲学

 『概説 西洋哲学史』では古典的なギリシャ哲学から、近代のカントキルケゴールニーチェハイデガーなどなど西洋哲学の有名人勢ぞろい近代哲学について網羅的に解説されています。先ほど中級編で紹介した『イラスト西洋哲学史』ではちょっと物足りないなという方にはこちらをオススメします。

 ひとつひとつの項目(例えば「構造主義」とか「情緒主義」とか)について1ページ程度で次々に説明がされていくので情報量がとても多く哲学独特の文体をしているので、ある程度哲学史を知った上で読んだ方が読みやすいだろうなと思います。

 本書の良いところは、”哲学史”と言うだけあって西洋哲学の論争と発展が時系列順に事細かに解説されていることで、特に「科学哲学分析哲学」にまで触れている点で非常に良い

 現代の私たち一般人にとって一番身近な哲学が実は「科学哲学」です。私たちが普段「科学的事実」とか「科学的に明らか」とか言う場合に、何を根拠に”科学”を信頼しているのかを「科学哲学」は教えてくれます。

 哲学では古くから「物が在るとはどう言うことか」と言う命題がよく出てきますが、これは現代の「科学哲学」にも引き継がれており、いくら原子や素粒子が科学的に発見されたとしても人間の”認識”において科学をどう評価するべきかなどが議論されます。

 多くの哲学入門書が大抵近代哲学くらいで終わってしまうのに対して、現代哲学にまでしっかり触れられている良著です。


 これらを読めば西洋哲学について一般レベルでほとんどのことが書かれています。『概説 西洋哲学史』なんかは索引こそないものの辞書的な役割として使うこともできるので、「あの話ってなんだったっけな?」というときにパラっと開いて簡単に調べ直すことができます。

 また、初級で紹介した『プチ哲学』も侮れません。難しい言葉や専門用語こそないですが仕事や勉強のやり方にちょっと行き詰まった時考え方をリセットしてくれるような助言もあって、イラストもとても可愛いく読みやすいので枕元において寝る前にちらりと読んでみる程度でも哲学的なヒントが得られるかもしれません。



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