アタリ確率2倍!超簡単「モンティホール問題」解説

  確率というのは面白い物で、ときに人の感覚を狂わせてしまいます。手の中のコインがどっちに入っているか。「どーっちだ?」と聞かれたときには右か左かの50%の確率ですが、いざ選んでみると「今なら選び直してもいいよ?」なんて言われちゃったりして選択を変えるべきか変えざるべきかの心理戦が始まってしまいます。

 妙な心理戦に持ち込まれて無用な悩みをさせられているように思いますが、これは相手が”アタリの場所を知ってる”が故に起こる心理戦です。

 上記の例では心理戦の有無に関わらず確率はどちらにしても50%なのですが、ときに選択を変更した方が確実にアタリの確率が上がる場合があります。それが今回紹介します「モンテホール問題」です。

目次
・モンテーホール問題とは選択を変更するとアタリ確率が2倍になる!超簡単モンティホール問題の解説アタリを2倍にするための条件とリスク選択とは生きると言うことである

モンテーホール問題とは

 まずこのモンテーホール問題とは何か。元ネタは1960年代から長年にわたってアメリカで放送されていた「Let’s Make a Deal(さぁ取引しよう)」というテレビ番組です。この番組内で行われた賞品当てゲームが元ネタとなっています。

 実際に行われていたゲームの内容を詳細に話すと実は結構長くなるので、わかりやすく単純化したルールを説明します。

 まず客席からプレイヤーが選ばれ司会者(モンティーホール)によって3つの扉が用意されます。この3つの扉のうち1つには新車旅行券などの入ったアタリが入っており、他2つはハズレです。

 挑戦者は3つのうちどれか1つを選ぶことができます。すると司会者はプレイヤーが選んだもの以外の扉のうち「ハズレ」の扉を開けて見せ「今ならまだ選び直して良いですよ?」と迫ります。

 さて、このときプレイヤーは最初に選んだ扉をそのまま保持し続けるべきかでしょうか、それとも選択を変えるべきでしょうか……?


選択を変更するとアタリ確率が2倍になる!

 結論を先に言うと、このような場合には選択を変更するとアタリの確率が2倍になります。これを最初に指摘したのがマリリン・ボス・サバントと言う女性で、彼女は当時ギネス・ワールド・レコーズで「世界で最もIQが高い」と言う記録を保持していました。

 直感的な感覚で言えば、最初に選択したときには1/3(約33.3%)でアタリを引くことができますが、ハズレの扉が1つあけられた後にはアタリの確率が1/2(50%)になるわけですから”選び直した方が良い”と言うのはわかります。

 しかしここで大きな問題になったのがマリリンによれば”確率が2倍になる”と言うことです。1/3(約33.3%)が1/2(50%)になっていたとしても2倍にはなっていません確率が2倍なのですからアタリの確率が2/3(約66.6%)になっていないといけないわけです。こりゃ一体どう言うことなんだ?と多くの数学者たちをも巻き込んだ大論争が始まってしまいました。


超簡単モンティホール問題の解説

 多くの数学者たちを悩ませたと言うことでさぞかし難しい確率の問題が出てくるかと思いきや全くそうではありません。むしろ小学生レベルの算数知識論理的な思考があればあっさり解決してしまいます。

 まずルールのおさらいをしておきます。

前提:A・B・Cの3つの扉が用意されており、ひとつにアタリが入っている
ルール①:プレイヤー最初に1つ扉を選ぶ
ルール②:司会者は残った扉からハズレの扉を開ける
ルール③:その後、プレイヤー扉を選び直すことができる

 このルールを守った上で、全ての扉を選んだときのそれぞれの結果がどうなるのか考えてみます。

単純化して見るために表にしてみましょう。アタリの場所はどこでも良いのでここではAの扉がアタリと言うことにします。

 全てのパターンを試すと、アタリとハズレの確率は実は五分五分の50%であることがわかります。これは「プレイヤーの再選択」において2択になるためで、1/3の最初の選択が再選択によって1/2へと確率が上がったということを示しています。それではそれぞれのパターンをひとつずつ見てみます。

 プレイヤーが最初にAの扉(アタリ)を選んだパターンでは、残されたBとCの扉はどちらもハズレなので司会者がBとCの扉どちらを開けるかを選択することになります。司会者がBの扉を開けたとき、残されたCの扉はハズレですからプレイヤーが選択を変えてしまうと残念ながらハズレを選んでしまうことになります。

 あーぁ、最初に選んだ扉のままにしておけば良かったのに……と思ってしまうのがこの問題の罠なのです。

 次にBの扉(ハズレ)を最初に選んだ場合。残されたAの扉(アタリ)Cの扉(ハズレ)のうち、司会者は必然的にCの扉(ハズレ)を開けることになります。すると、プレイヤーは選択を変更してAの扉を最終的に選ぶことで見事アタリを引くことができました!

 最初にCの扉(ハズレ)を選んだ場合も同様に、司会者は必然的にBの扉(ハズレ)を開けることになるのでプレイヤーは選択を変更することで最終的にAの扉を開くことでアタリを引くことができます。

 つまり何が言いたいのかと言うと、最初から途中で必ず変更することを決めておけば最初にハズレを引けば最終的に必ずアタリになると言うことなのです!すなわち、選択を一度しか行わないということ。この場合どのようなパターンになるか見てみましょう。

 このように最初にハズレを引けば言い訳ですから、3つの扉においてハズレの確率は2/3(約66.6%)!つまり最終的なアタリの確率2/3(約66.6%)選択を変更する(ということを事前に決めておく)ことで見事に確率は2倍になりました!すげー!


アタリを2倍にするための条件とリスク

 このようにハズレを引けば最終的にはアタリになると言うことで”最終的にアタリを引く確率が2倍になる”と言うことを何の数式も使わずに説明することができました。

 この確率を実践するためには以下のような条件が必要です。

条件①:あたりの位置は最初から最後まで変わらない
条件②:司会者がハズレの扉を必ず開ける
条件③:プレイヤーは②について事前に知っている
条件④:プレイヤーは最後に必ず選択を変更する

 特に大事なのが条件④の「プレイヤーは最後に必ず選択を変更する」です。最初にハズレの扉(BかCの扉)を選んだ後に選択を変更することで必ずアタリを引くことができるわけですから選択の変更は必須です。

 その対価として最初にアタリ(Aの扉)を引いてしまった場合には自身の選択の変更によって残念な結果になってしまう”リスク”があります。

 この選択の変更による”リスク”を考えてしまうことも確率論ではなく直感論的選択の変更が難しいように感じてしまう大きな要因です。


確率と直感のパラドクス

 このモンティホール問題は時折”パラドクス”として取り上げられることがあります。これまで説明してきたようにモンティホール問題は明確な確率問題なのになぜこれがパラドクスになってしまうのか。

 ひとつの大きな要因は「最初から選択を変更するつもりでいるかどうか」にあります。言い換えると”どのタイミングで何度選択を行うか”です。

 繰り返しになりますが、ゲームの前提とルールにおいてプレイヤーが扉を選ぶ権利は以下のように2度あります。

前提:A・B・Cの3つの扉が用意されており、ひとつにアタリが入っている
ルール①:プレイヤー最初に1つ扉を選ぶ【1度目の選択】
ルール②:司会者は残った扉からハズレの扉を開ける
ルール③:その後、プレイヤー扉を選び直すことができる【2度目の選択】

 もしも2度とも選択を行うのであれば【1度目の選択】ではアタリ確率1/3、【2度目の選択】ではアタリ確率1/2ですが……

 しかし「最初から選択を変更するつもり」であるならば選択は一度きり【1度目の選択】で全ての結果が決まります。2度目の選択の余地はありません。”必ず変更する”のですからそこに新たな選択はなく、先の表のように2/3でハズレを引いてしまいさえすれば良いのです。

 逆説的に言えば【2度目の選択】で選択を悩んでしまうとアタリの確率を自ら下げてしまうことに!なんてこった!

 直感的には選び直す方が1/3が1/2になるので確率は高いように思えますが、ルールの穴を逆手にとってしまえば確率は2/3へ跳ね上がる。この直感と確率論が相反するように感じてしまうことから”パラドクス”と言われるのです。


選択とは生きると言うことである

 私たちは日々多くの選択を迫られ、そして瞬時に様々なことを選択しながら生活しています。朝食をご飯にするのかパンにするのかと言う些細なことから、大きな仕事の契約を結ぶべきかリスクを避けるべきかと言うことまで選択は私たちの生活に密接に関わっています

 今回のモンティホール問題は人の直感を無視する選択をすることで結果的には良い結果が得られましたが、普段の生活において同じような条件が揃うことはほとんどありませんし、朝食をご飯にするかパンにするかにおいて確率論など無用です。

 ただし、その選択に対する理由づけを自分なりにひとつひとつ見出していくことで人生をより豊かなものへと変化させてくれることがあるかもしれません。決められたことを決められたままにやるだけでなく、自分の行動ひとつひとつを”選択だ”と捉えたとき、ちょっと寄り道してみるだけで新しい発見があるかもしれませんよ。確率論だけで生きるのって何だか味気ないじゃないですか。

 いつ何時も自分の選択に自信を持ちその結果を受け入れることのできる度量を身に付けたいですね。


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