ものが大きく見えたり、小さく見えたりする:不思議の国のアリス症候群

 「不思議の国のアリス」と言えばディズニーアニメーションとしても有名なルイス・キャロルによる児童小説です。少女アリスがウサギを追いかけて行くと”不思議の国”に迷い込んでしまい、そこで不可思議なキャラクターたちと出会いながら冒険をするというお話しでした。

 今回紹介するのはその児童小説の名がそのままついた不思議な病状「不思議の国のアリス症候群」についてです。何だかいつまで経っても大人になれない大人のような雰囲気の名前ですが、症状はそう言ったものではありません。いわゆる一過性の幻覚症状のようなことが起こる主観的な視覚の変容を表す症例です。

目次
・不思議の国のアリス症候群とはいつ起こるのか、そして対処法(私の場合)原因や治療法は不明

不思議の国のアリス症候群とは

 「不思議の国のアリス症候群」とは一過性の幻覚症状で、視覚上の物の大きさ距離感極端に変化したり相対的な物の大きさがわからなくなったり物が歪んで見えたりするなどといったことが主な症状です。こうした症状が「不思議の国のアリス」に出てくる一場面(※)のようなのでそのまま「不思議の国のアリス症候群」と名付けられました。

【※】不思議の国に迷い込んだアリスは芋虫から不思議なキノコ を貰います。そのキノコ は片側を食べれば体が大きくなり、もう片側を食べれば体が小さくなる不思議なキノコでした。

 こうした症状は子どもに見られることが多く、自分の子どもが「物が大きくなった!」「壁が近づいてくる!」などと急に言い出すので心配になる保護者の方々も多いようです。 

 しかしながら子どもに起こるこれらの症状のほとんどの場合、一過性あったり風邪や熱、頭痛などがきっかけとなって起こるもので、しばらくするといつの間にか元に戻っています

 こうした症状がお子様に頻発する場合には「自閉症スペクトラム障害」や「てんかん発作」などの可能性も否めないため、病院での医師による診断を受けることも必要かもしれません。

 また、これらの症状は成人になってからも起こることも少なくなく、片頭痛離人感を伴うことがあります。大人の場合でも症状が頻発して生活に支障をきたす場合神経内科や頭痛の専門医などへ相談をしてみましょう。

 とは言え先述の通り症状のほとんどが一過性のものでこれらの症状がみられたからと言って過剰に心配する必要はありません。あくまでも生活に支障をきたすレベルならばお医者さんに行ってみましょうという程度で、たまになるくらいなら全く問題ありません。

 かく言う私も幼い頃から(今でもたまに)視覚的な距離が極端に近くなったり遠くなったり物がめちゃくちゃ小さく見えたりと言ったことがよくあり、まさに「不思議の国のアリス症候群」そのものなのですがこれを原因にして病院に行ったことあありません。(まぁ視覚的な不快感はありますが……)


いつ起こるのか、そして対処法(私の場合)

 私の場合、こうした症状が出るのは過度な集中力が切れた瞬間極端にリラックスした時などで、具体的には学校で授業中に集中力が切れた瞬間、先生や黒板がものすごく遠くに見えたり、ピアノの練習中に楽譜や鍵盤が遠くに見えたりと言ったものです。寝る前には天井が眼前10cmほどまでに近づいて見えたり、お風呂の中で壁の汚れが大きく見えたりなどリラックス状態でも起こります。

 物が遠くに見えるときは相対的な距離感も曖昧になるのですが、手を伸ばすと某海賊マンガの主人公の如く腕がみょーんと伸びて見えるので物を掴んだり拾ったりすることに支障はありません。

 これらの視覚的異常は自分ではっきりと知覚できるので「あ、今アリスってる…」と自覚症状もあるのですが、だからこそ一過性のものであることもわかっているのであまり気にしていません。

 物が遠くに見えるからと言って手を伸ばせば届くことも感覚的にわかっていますし、天井が近くに見えても頭をぶつける心配はないとはっきりわかっています。”視覚的違和感”が気持ち悪かったりもするのですが、30分もしないうちに気づけば元に戻っているのであまり対処も心配もしていません。

 これらの症状を知らない人には心配されるかもしれませんが、車の運転中に起きても全く問題なく安全に運転し続けることができます。(運転中に長引く場合にはもちろん休憩しますよ。)

 つまるところ対処法と言えるような対処法はなく、「あ、またこれか」くらいに気にしないと言うのが一番の対処法だと思います。車の運転も支障がないとは言え自分の体にどのような変化が起きているのかは正確にはわからないのでコンビニでタバコ休憩を取ったりして視覚を元に戻してから運転を再開したりしています。


原因や治療法は不明

 「不思議の国のアリス症候群」が起こる原因は全くの不明です。先述のように「てんかん発作」や「片頭痛」「離人感」などと併発すると書きましたが「不思議の国のアリス症候群」が起こる原因そのものはわかっていません。一説にはヘルペスウイルスの一種であるEBウイルスによる大脳皮質の変異と言う話もありますが、これも直接的な原因としては認識されていません。

 原因がわかっていないのでもちろん治療の方法もわかっていません。片頭痛を伴う場合には片頭痛の治療によって軽減されるとのことですが、「不思議の国のアリス症候群」そのものは片頭痛が必ず併発するものではなく、私のように視覚的変容のみが現れることがほとんどです。

 私のように成人してからも「不思議の国のアリス症候群」を起こす人も少なくないとは思います。この記事にたどり着いた方の中にも治療法を探している…という方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら治療法はないのが実情です。

 根本的な解決ではないのですが、個人的には休憩をとったり別のことに集中したりするなどして症状を気にしないと言うのがやはり最善手ではないしょうか。少なくともこの異様な視覚症状に不安を抱いている方々に言いたいのは、そうした症状が起こるのは”自分だけではない”と言うこと。”死に至る病”が「絶望」であったように「病は気から」とはよく言ったものです。「不思議の国のアリス症候群」を正しく認識し、自分の視覚以外の感覚にも自信を持って上手に付き合っていきましょう。


参考web
まるで物語の世界―不思議の国のアリス症候群一過性に生じる幻覚
「不思議の国のアリス症候群」とは? 原因・症状・対処法も紹介


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